出産手当金 <赤ちゃんの出産で戻るお金>

赤ちゃんを出産したら戻ってくるお金のひとつに出産手当金があります。

出産を控えた妊婦さんのための妊娠・出産に関する豆知識

出産手当金

●産前産後の98日(多胎妊娠だと154日)分の給料の6割を保障

正確には、出産日(遅れた場合は出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)前を起点とした日から、出産後56日までが対象となります。

条件1

(1) 出産時、在職中である (在職している限り、在職中は、過去の加入期間は全く関係ありません)

条件2(退職している場合)

(1) 1年以上継続して社会保険加入していた
(2) 退職後6か月以内に出産した

妊娠85日(12週)以上経過していて、出産のために会社を休み、その間給料が出ない場合、その6割の額が出産手当金が支給されます。 給料が出る場合は、標準報酬月額の6割との差額が支給されます(健康保険法102、104、106条)。

専業主婦でも、本人名義の社会保険に1年以上"切れ目なく"加入している人で、会社を辞めてから6か月以内の出産ならば(予定日はずれる可能性大なので退職日に要注意。ギリギリの計算で退職日を決め、出産が予定日より1日遅れたために、何ももらえなかった、ということもあります)、以前加入していた健康保険から、出産手当金は支給されます。

健康保険の種類や退職日など、もらえる人に条件はありますが、その条件をクリアしていたら、ぜひ申請したい制度です(申請が遅れても、産後2年間は受け付けてくれます)。

国民健康保険にはこの制度はない

この制度は、出産のために仕事を休み、給料がもらえないときに休業中の生活を保証するという目的で健康保険の方から支給されるものなので、妊婦さん自身が健保の本人でないと、貰うことができません。

このため、国民健康保険にはこの制度はありません。

会社から給料が出る場合

給付額は、標準報酬日額の6割ですが、会社から給料が一部支給されている場合は、この6割の額から支給された額を控除した金額になります。 また、有給休暇の取得日は給料が100%支給されているので、支給対象となりません。

出産手当金の支給要件を満たしてはいるものの、会社から給料が出ていたために手当金が支給停止になっていた場合は、会社を退職すると支給されることになります。

出産が予定日より遅れたとき

継続加入かどうかに要注意

切れ目なく、というのは、必ずしも同じ会社である必要はなく、転職した場合でも、退職した翌日に次の会社へ就職(社会保険加入)した場合等、複数の会社であっても、切れ目さえなければ可能です(もちろん、国民年金はだめです) 1日でも切れ目があればダメですので、念のため、次のこともにも十分注意して下さい。

会社によっては、たとえば、退職日が日曜日(公休日)だったりすると、土曜日を退職日と誤解釈して手続してしまうことがあります。 退職日が、月末だと、保険料が1ヶ月余分になると考えて、その前日を退職日にしてしまうことがあります。 また、入社しても、すぐには保険に入れない会社があります。

これらはいずれも、誤った扱いですが、現実にはよくあるケースです。このような場合は、切れ目ができてしまいます。

これに対し、在職中であれば、過去の加入期間には関係なく、在職している限り、一般と同様の給付が受けられます。 たとえ、1週間前に入社したばかりで出産しても、在職期間中は、何らの差別もありません。(現実には、出産直前に入社する人はいないでしょうが)

また、1年以上継続加入していた女性が、出産退職した場合は、退職後も引き続き、在職と同様に給付が受けられます。

逆に、1年以上継続して加入していなかった女性が、在職中に出産し、退職した場合は、在職中は給付を受けられますが、退職すると、即打ちきりになります。

問い合わせは社会保険事務所へ

自分で手続きする場合は、健康保険証にある社会保険事務所へ問い合わせてみてください。 手続は、社会保険事務所で用紙をもらって、これに病院で出産に関する証明を書いてもらう程度で簡単です。 金額は、標準報酬日額の6割を98日分支給されます。 式にすると、標準報酬月額/30×0.6×98です。

たとえば、給料が24万円の人では
24万円/30日×0.6×98日=約47万円

この98日分というは、産前6週(42日)と産後8週(56日)を足した日数で、分娩当日は産前の42日の方に含まれます。 分娩日が予定日よりも遅れた場合は、その日数も産前の日数として加算されていきます。 逆に、分娩日が予定日よりも早まった場合は、分娩日を基点として、それ以前の42日分が産前分として支給されます。(給料をもらっていた日は除く。したがって有給休暇の日は含まない)

仕事を辞めない人で、産休・育児休暇中に給与補償がある場合はもらえません。ただし、その場合でも給与補償が給料の6割に満たない場合は、その差額を受け取ることができます。

配偶者出産一時金との競合

出産手当金を受け取ることが可能となった段階(産前6週)でその額が一定額(130万円/360日=3,611円/日)を超えると、夫の被扶養者をはずれることになります。そうなると、夫の健保組合(あるいは社会保険事務所)からは配偶者出産育児一時金を受給することはできません。

被扶養者から削除されず、配偶者出産育児一時金を受給できた場合であっても、遡って削除され、いったん受け取った配偶者出産育児一時金の返還を求められる危険がありますから注意が必要です。